ワールド ゴールド カウンシルがまとめた最新の『ゴールド・デマンド・トレンド』によると、2014年4~6月期の世界の金需要は、例外的な高需要水準の年となった2013年以降、長期トレンドへの回帰を示し続けています。第2四半期の金総需要は964トンと、前年同期比で16%減少しました。これは消費者および投資家が活動を控え、慎重な姿勢になったことによるものです。
金需要全体の半分以上を占める宝飾品向けの需要は510トンで、予想通り、前年を30%下回りました。2012年第2四半期と比較すると、2014年第2四半期では11%増加しており、2009年以降は幅広い上昇傾向を示しています。従来通り、インドおよび中国が世界の宝飾品市場の重要なけん引役を担い、それぞれが154トンおよび143トンを買い入れました。一般的に宝飾品需要の低い四半期ですが、消費者が2013年以降も引き続き宝飾品を求めやすい好機として捉えていることが影響し、「ニーズ」に基づいた購入姿勢を示しました。インドの宝飾品の購入は、選挙期間中の高額購入制限があったのと、継続的な金輸入制限の影響を受けました。一方で、いくつかの欧米市場では引き続き回復の兆しが見られ、米国の宝飾品需要は15%増の26トン、英国は21%増の4トンとなりました。これは経済の回復に伴い、消費者の金市場への信頼感が向上し、イエローゴールドが再び流行したことによるものです。
各国中央銀行による2014年第2四半期の金購入量は118トンで、前年同期比を28%上回り、14四半期連続で金を買い越しています。これは米ドル離れによる分散化の継続、イラクおよびウクライナにおいて地政学的緊張が続いていることなど、さまざまな要因によるものです。
2014年第2四半期の総投資需要(上場投資信託(ETF)投資と金地金およびコインへの投資を合わせたもの)は前年同期から4%増の235トンでした。また、金地金およびコインへの投資は275トンで、前例のない水準を記録した前年同期より56%低下しました。2014年第2四半期は、多くの投資家の間で金価格の方向性とモメンタムについて不透明感が募り、ボラティリティの低さにより、価格に敏感な市場の投機家たちの活動は停滞した状況が続いておりました。今四半期は昨年に比べ、ETFに対する投資家心理に向上が見られました。今四半期の流出は40トンで、前年同期に見られた流出の10分の1でした。今四半期初めに大規模な流出がまとめて起き、同期末までにかろうじて流入となりました。
ワールド ゴールド カウンシルのインベストメント・ストラテジー、マネージング・ディレクターのマーカス・グラブ(Marcus Grubb)は以下のように述べています。
「昨年は記録的な消費者の購入と投資家の売却を見た例外的な年でしたが、今四半期の需要は引き続き長期的トレンドへの回帰を示し、金市場特有のバランスの取れた性質を表しています。宝飾品を購入している消費者は2013年以降も引き続き宝飾品が求めやすい好機であると捉え、投資家も昨年の極端な状況から、バランスを取り戻しました。金市場全体としては、例外的な年となった2013年以降、安定化に向かっています」。
金額ベースでは、2014年第2四半期の金需要は400億米ドルとなり、2013年第2四半期に比べて24%低下しました。平均価格は1オンス1,288米ドルで、2013年第2四半期の平均価格から9%下落しました。
このレポートのポイントは以下のとおりです。
- 宝飾品の需要は引き続き金需要の最大の構成要素であり、全需要の半分以上を占め、510トンとなっています。前年に比べて30%低下したものの、2009年初めに確立された基調から幅広い上昇傾向を示しています。
- 各国中央銀行の購入量は前年同期比を28%上回り118トンとなりました。これは金をリスク回避策として使用し、米ドルから離れて分散化する傾向が続いているためです。
- 総投資需要(金地金およびコインへの投資とETFへの投資を合わせたもの)は4%上昇して235トンとなりました。しかしながら、未曾有の需要レベルを経験した昨年に比べ、金地金およびコインに対する需要は56%低下し、2013年第2四半期の628トンから2014年第2四半期は275トンとなりました。ETFからの流出は40トンで、前年同期に見られた流出の10分の1でした。
- これらを踏まえると、金需要が例外的な年となった2013年以降、長期的トレンドに回帰していることを示しています。
- 今四半期の総供給量は前年比で10%上昇しました。これは鉱山生産量の増加のみによるものでした。
- 年前半のリサイクルは2007年以来最低となりましたが、2014年第2四半期の数字は前年を1%上回り263トンとなり、これまでの平均値より比較的低い数値を示します。
2014年第2四半期の金需要データ
- 2014年第2四半期の金需要は964トンで、前年の1,148トンを16%下回りました。
- 各国中央銀行の買い越し高は前年を28%上回り、92トンから118トンとなりました。
- 金地金およびコインの総需要は前年を56%下回り、628トンから275トンとなりました。
- ETFからの流出は40トンで、前年同期に見られた流出の10分の1となりました。
- 宝飾品の総需要は前年を30%下回り、727トンから510トンとなりました。
- テクノロジー関連の需要は101トンで、前年同期を3%下回りました。
- 総供給は10%上昇して1,078トンとなりました。供給は2014年にピークを迎え、以降4~6四半期の間は横ばいになると見られます。
トムソンロイターGFMSの提供する総合データを掲載した『The Q2 2014 Gold Demand Trends report』はhttp://www.gold.org/supply-and-demand/gold-demand-trends ならびにwww.itunes.comからiPad アプリをダウンロードすることによりご覧いただけます。またビデオでもご覧いだけます。
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ワールド ゴールド カウンシルは、金市場に関する真の洞察力を生かし、金をベースにしたソリューションやサービス、市場の育成を行っています。こうした活動を通じ、金需要の構造的変化を喚起しています。
ワールド ゴールド カウンシルは国際金市場に対する洞察を提供することにより、富の保全や社会・環境面で金が果たせる役割についての理解を深める活動を行っています。
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