⽇本の保険会社のポートフォリオで輝く⾦の可能性

⽇本における⾦投資は⼀般家庭で⼈気を獲得してきたものの、⽣命保険会社や損害保険会社は、保険料収⼊や資産規模がが⼤きいにもかかわらず、⾦投資を限定的にしか⾏ってきませんでした。

我々は、保険業界における⾦の可能性を探究すべく、オリバー・ワイマンのサポートのもと、2023 年上半期に⽇本の保険会社の資産運⽤⽅針および⾦投資に対する現在のリスク選好度を理解するために、保険市場関係者に対してマーケットリサーチを実施しました。本レポートは、保険会社のポートフォリオに⾦を組み⼊れる際の、主な検討事項と潜在的な利点に光を当てることを⽬的としています。

⽇本の保険会社の資産アロケーションの概要 

⾦融安定理事会の 「Global Monitoring Report on Non-Bank Financial Intermediation 2022」 によると、⽇本では 1991 年以降の「失われた 10 年」から続く景気低迷にもかかわらず、保険業界の運⽤資産総額は 2021 年末時点で 5 兆 3000 億⽶ドル(610 兆円)と、⽶国に次ぐ世界第 2 位の規模に達しました(図 1を参照)。この資産全体の 9 割以上を⽣命保険会社、残りを損害保険会社が保有しています。

⽇本の⽣命保険会社と損害保険会社の資産アロケーションは、それぞれのニーズに合わせて明確に異なります。たとえば、主に終⾝保険、医療保険、年⾦保険、その他の⽐較的⻑期の保険商品を提供する⽣命保険会社は、⻑期負債の返済と保証利率の達成のために、(⼀般勘定の)ポートフォリオの⼤半を⻑期債券資産に配分します(4 ページの図 2 を参照)。それと並⾏して、利回り強化のために株式やオルタナティブ資産にも配分します。特に、⻑年にわたる⽇本の超低⾦利環境の中で、こうした資産が存在感を強めてきました。

 

1:⽇本の保険業界は資産規模で世界第 2  

保険業界の資産規模の上位 10 ヵ国*

⽇本の保険業界は資産規模で世界第 2 位

⽇本の保険業界は資産規模で世界第 2 位
保険業界の資産規模の上位 10 ヵ国*
*2021年末現在 出所:金融安定理事会、ワールドゴールドカウンシル

出所: ⾦融安定理事会, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

*2021年末現在

 

2:⽣命保険会社の主な資産は債券資産

⽣命保険会社上位 4 社の⼀般勘定(GA)の内訳*

⽣命保険会社の主な資産は債券資産

⽣命保険会社の主な資産は債券資産
⽣命保険会社上位 4 社の⼀般勘定(GA)の内訳*
2022年3月末現在 出所:保険会社の開示情報、ワールドゴールドカウンシル

出所: 保険会社の開⽰情報, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

*2022年3月末現在

これに対し損害保険会社は、有価証券やその他のリターン強化型資産に対する配分とリスク選好度がはるかに⼤きくなります(図 3 を参照)。その理由は、⾃動⾞保険、⽕災保険、傷害保険、その他損害保険など、損害保険会社の保険商品の⼤半は短期的で固定債務がなく、1990 年代の⾦利低下がもたらした⾦利差益の影響が⽣命保険会社に⽐べて⼩さかったからです。さらに、⼤災害の発⽣は予測できないため、損害保険会社にとっては流動性が重⼤な懸念事項です。

 

3:損害保険会社は有価証券やその他のリターン強化型資産への配分率が⼤きい

全損害保険会社の投資資産*

損害保険会社は有価証券やその他のリターン強化型資産への配分率が⼤きい

損害保険会社は有価証券やその他のリターン強化型資産への配分率が⼤きい
全損害保険会社の投資資産*
*2022年3月末現在 出所:日本損害保険協会、ワールドゴールドカウンシル

出所: ⽇本損害保険協会, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

*2022年3月末現在 

1990 年代初めのバブル崩壊後、⽇本経済は⻑期にわたり超低⾦利環境から抜け出せず、2016 年 1 ⽉に導⼊されたマイナス⾦利政策によって、この傾向がさらに強まりました。これは保険会社、特に⽣命保険会社にとって試練であり、各社はより⼤きな市場リスクを取って、利回り強化のためにオルタナティブ資産により積極的に投資するようになりました。低⾦利環境がもたらす課題だけでなく、近年の地政学的リスクの⾼まりに伴う経済の不確実性によって、ボラティリティがさらに顕著になっています。この不安定な経済情勢の中、保険会社は、⾃社の投資ポートフォリオを保護するだけでなく、強化できるような資産を必要としています。

ここからは、⾦投資に対する⽇本の保険会社の現在の⾒解に焦点を当て、保険会社にとって⾦投資がどう有益なものになりうるかを⽰します。

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