1 November, 2022
トン | 2021 年四半期 第 3 | 2022 年第 3 四半期 | 前年同期比 | |
---|---|---|---|---|
界合計 | 476.5 | 523.1 | 10 | |
インド | 125.1 | 146.2 | 17 | |
中国本土 | 156.0 | 163.4 | 5 |
第 3 四半期の世界の金宝飾品消費量は 523 トンで、前年同期比で 10%増加し、直近の四半期からは 14%増加しました。長期比較でも需要は健全で、5 年間四半期平均(501 トン)を上回りました。年初来の累計需要は 1,454 トンで、前年同期を 2%上回りました。
04
これは、今四半期中に多くの市場で金価格が下落したことに助けられ、市場がコロナ以前の活動レベルへと戻りつつあることを示しています。加工の増加が消費の増加を上回ったことで、第 3 四半期も在庫の積み増しがさらに進みました。
第 2 四半期に中国各地で実施されたロックダウンの終了後、第 3 四半期に入り金宝飾品の需要が回復し、前四半期比で 58%増の 163 トンになりました。
前年同期比では 5%と、緩やかな増加となりました。四半期を通じて散発的に規制が実施されたにもかかわらず、7 月と 8 月の消費者心理は、現地金価格の下落と第 2 四半期からの滞留需要の解放に支えられて上向きました。
宝飾品消費者は、突然実施されたロックダウンが長引いていることや、経済成長の鈍化、自国通貨安という不確実な環境から、通常よりも強い投資動機に駆り立てられることになりました。そのため、プレーンな 24 金製品の売上が増加し、1 個あたり価格ではなく、(人件費を下げ、その透明性を高める)従量価格が上昇しています。したがって、小売業者は利益を上げるため、販売促進努力を重量のある商品に持続して傾注しました。
第 3 四半期では、伝統的金宝飾品の需要が引き続き増大し、市場シェアがさらに増加しました。特に、シンプルなアンティーククラフトゴールドのバングルは非常に人気が高く、金宝飾品需要が持つ準投資的性質が明確に示されました。同じことが、純度の高い宝飾品によって価値を維持したいと考える消費者にとっては投資対象としての魅力に劣る 18 金の市場シェアが低下したことにも現れています。
第 4 四半期の需要について考えると、マイナスよりもプラスの可能性の方が高いと思われます。季節性と、政府が優先する消費刺激策は、準投資的性質を持つ金宝飾品への嗜好が継続していることとあいまって、第 4 四半期の金宝飾品販売をある程度下支えする可能性があります。ただし、ゼロコロナ政策がもたらす課題を無視することはできません。第 4 四半期初めの国慶節連休では、金宝飾品需要にバラツキが生じ、ロックダウンの影響を受けた都市の小売業者は落胆する結果となりました。
インドの宝飾品需要は前年同期比 17%増の 146 トンとなりましたが、これは南部地域の需要が旺盛であったことが主な要因です。第 3 四半期の需要は 5 年間四半期平均(131 トン)を 12%上回り、年初来累計需要は前年比 10%増の 381 トンで、コロナ前の 2019 年とほぼ同じ水準に達しました。
インド都市部の消費者は、地域の経済活動が正常化するのに伴い、金宝飾品需要の回復を後押ししました。期末の銀行融資の伸びが 9 年ぶりの高水準に達するなど、信用拡大が需要回復に勢いをもたらしました 1。
祝祭や婚礼の需要が支えになるため、今年末までの見通しは明るいものとなっています。ただし、都市部に比べて高いインフレが、重要な地方の需要を圧迫する可能性があることから、昨年第 4 四半期の記録的需要に匹敵する水準にまで達することは考えられません。
中東における第 3 四半期の宝飾品需要は、前年同期比で 2 桁の伸びを示しました。中東地域全体の需要は、第 3 四半期に金価格が下落したことで恩恵を受けましたが、一部の市場では、原油輸出による収益増と観光客の増加も需要を押し上げました。インフレ率の上昇も、金購入の背後にある投資動機を明確に示しています。今四半期、トルコの宝飾品需要は前年同期比 19%増の 11 トンとなり、四半期としては 2017 年第 4 四半期以来の高水準となりました。急激なインフレ上昇が需要を後押しし、高純度商品の購入に対する投資動機を支えました。
第 3 四半期、米国の金宝飾品消費は沈滞気味でした。昨年の非常に好調だったコロナのリバウンド需要から再び後退して、今期は 30 トンとなり、前年同期比で 6%減、前四半期比で 20%減となりました。ただし長期的に見た場合、第 3 四半期の需要は相対的に好調で、コロナ前 5 年間の第 3 四半期平均需要は 27 トンでした。コロナ後の旅行や娯楽などのサービスへの支出が正常に戻るにつれて、その代償として、金宝飾品を含む贅沢品への支出が減少しています。また、ますます厳しさを増す経済環境下で、第 4 四半期の需要は、きわめて好調だった昨年同期には及ばないと考えられています。
欧州の宝飾品需要は前年同期比で 4%増加し、第 3 四半期の合計としては 2010 年以来の高水準に達しました。需要を支えたのは、低い失業率と地域観光の継続的な回復でした。年初来の地域累計需要 40 トンはコロナ前の水準に戻っており、2019 年のレベルも超えています。しかし、経済環境が悪化し、消費者は生活費の高騰や経済成長の鈍化と戦わなければならず、先行きについては十分注意する必要があります。
第 3 四半期、宝飾品の消費量は東南アジア全体で増加しました。残っていた規制のほとんどが解除され、経済活動が本格的に再開できるようになったことで、コロナからの継続的な回復によって需要が支えられました。ベトナムの宝飾品消費量は前年同期比で 3 倍以上の 4 トンに達しました。この大幅な増加は、比較対象である 2021 年第 3 四半期が非常に低調だったことが大きく関係しています。とはいえベトナムの回復はとりわけ順調であり、 GDP の着実な成長、給与カットの逆転による収入の増加、企業の完全雇用への復帰などのすべてが需要を押し上げました。タイの宝飾品消費量は 7 四半期連続で増加し、前年同期比 35%増の 3 トンになりました。これは、ワールド ゴールド カウンシルの調査が始まって以来、タイにおける最長の需要拡大期間であり、それを支えたのは観光業の復活です。第 3 四半期末の現地金価格の下落により、金の小売業者は婚礼シーズンや年末に向けての祝祭を見すえて、第 4 四半期も堅調な需要が続くと予測し、在庫の補充に取り組んでいます インドネシアの宝飾品需要は前年同期比で 5%の若干増となりました。消費者心理の改善が一役買ったものの、インフレ率の上昇が地域最大の経済圏の裁量支出に影響を及ぼし始めています。マレーシア(前年同期比 69%)とシンガポール(同 61%)でも、第 3 四半期の宝飾品購入が増加しました。
日本の宝飾品需要は前年同期比で 10%増加し 5 トンとなりました。消費者は、価格水準の上昇に素早く対応しています。新型コロナウイルス感染症をめぐる状況が改善し、結婚式が実施されるようになり、テレビやオンラインチャネルによる通信販売の成功が続いていることが、需要の増加に貢献しました。韓国の第 3 四半期は例外的で、経済的圧力の兆候が強まる中、宝飾品消費量は前年同期比 26%減の 3 トンとなりました。宝飾品市場は、国内経済の低迷と不確実な国際情勢の影響を受けており、生活費と金利の上昇が贅沢品への支出を抑制する結果になっています。
オーストラリアの宝飾品消費は前年同期比 71%増の 2 トンとなりました。大幅な増加ではありますが、比較対象となっているのは、まだ非常に厳しいコロナ対策が実施され、需要が低迷していた 2021 年第 3 四半期です。年初来の累計需要の 27%増は、経済の不確実性が背景にあるにもかかわらず、オーストラリアの宝飾品市場が依然として堅調であることを示しています。