世界の中央銀行による購入は第 1 四半期に、約 400 トンまで急増しました(前四半期比 +115%)。2000 年までさかのぼることができるワールド ゴールド カウンシルのデータによると、このセクターの四半期需要としては最大であり、これまでの記録だった 2018 年第3 四半期の241トンのほぼ2 倍に相当します。また 、8 四半期連続の買い越しであり、年初来の累計は 673 トンで、1967 年以降のいずれの通年合計も上回っています 3。第 3 四半期における公的機関の需要レベルは、公表された中央銀行の安定した購入量と、公表されていない少なからぬ推計購入量を組み合わせたものです。すべての公的機関が金の運用残高を公にしているわけではなく、また遅れて発表されるケースもあることから、こうした事態は珍しいことではありません。またメタルズ・フォーカスは、購入は第 3 四半期に行われたものとして集計していますが、今年前半に開始された場合もあり得る点にも注意が必要です。したがって、今後もっと多くの情報が入手できるようになれば、変更される可能性があります。
中央銀行
1 November, 2022
中央銀行の買いは、2022 年第 3 四半期に四半期としての過去最高を記録しました。
- 第 3 四半期の正味需要には、未公表の購入に関する推計値が大幅に含まれています。
- トルコ、ウズベキスタン、カタールの購入は、第 3 四半期中に公表された中でトップレベルでした。
- その結果、年初来の買い越しは 673 トンとなり、1967 年以降のすべての年間購入量を超えました。
トン | 2021 年半期 第 3 | 2022 年第 3四半期 | 前年同期比 | |
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中央銀行およびその他出所 | 90.6 | 399.3 | >300 |
Source: Metals Focus, World Gold Council
公表されている国別の動きというさらに詳細なレベルで見ると、比較的限られた数の新興市場の銀行に再び売買が集中していることが分かります 2。今年公表された中では、トルコが引き続き最大の金購入者でした。第 3 四半期の増加は 31 トンで、金準備高は 489 トン(総準備高の 29%)まで増えました。年初来、金準備高は 95 トン増加しました。
ウズベキスタン中央銀行は引き続き金準備を積み増しており、第 3 四半期には 26 トン購入しました。過去 2 四半期にわたって着実に金を購入しており、年初来の買い越しは 28 トンに達しています。カタール中央銀行も第 3 四半期に大幅な買いを記録しました。7 月にカタール中央銀行は 15 トンの金を購入しましたが、これは(IMF の初期データは不完全ですが)1967 年までさかのぼれる記録によれば、同行の月間購入額として最大であったと思われます。この後、8 月と 9 月にさらに買い増ししたようですが、正確な購入量の確認は、IMF のデータ待ちとなっています。カタールの総金準備高は 7 月末時点で 72 トンとなり、過去最高を記録しました。
インド準備銀行は第 3 四半期も、長年続けてきた金購入戦略を実施しました。7 月に 13 トン、9 月に 4 トン購入し、金準備高は 785 トンに達しました。その他、今四半期はモザンビーク(2 トン)、フィリピン(2 トン)、モンゴル(1 トン)の買いが目を引きました。
またカザフスタンが第 3 四半期における最大の売り手で、金準備高は 2 トン減少しました。カザフスタン国立銀行は年初来の売りが正味 21 トンとなり、金の総運用残高は 381 トン(総準備高の63%)になりました。同行は、8月にブルームバーグに送った声明で、さらなる売却の可能性を示唆しましたが、実施の有無は市況によるとしています。以前指摘したように、国内から金を調達する中央銀行が売り買いの間で揺れ動くことは珍しいことではありません。カザフスタン国立銀行の金準備管理の詳細については、Goldhub ブログをご覧ください。アラブ首長国連邦も第 3 四半期におけるもう一方の注目すべき売り手であり、金準備高を 1 トン減少させました。
公的機関の金需要に引き続き見られるトレンドが、ワールド ゴールド カウンシルが実施した 2022 年の年次中央銀行調査の結果も裏付けています。同調査では、回答者の 4 分の 1(2021 年は 5 分の 1)が今後 12 か月間で金準備を増やす意向を示しました。今年末までの中央銀行需要の予測については、今後の見通しのセクションをご覧ください。